高齢者の一日の時間の使い方
高齢者が仕事を退職し、仕事に費やしていた時間が他に使えるようになったとき、どんなことに時間を割り振るのでしょうか。
この情報は、総務省統計局による「平成23年社会生活基本調査」の、25~34歳の若者と、65~74歳の高齢者の一日の時間の使い方を比較した「高齢者はどのような行動にどれくらいの時間を費やしているのか」をもとにしています。
目に見えて増えるのは「テレビを見る時間」
データを見ると、「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」に使う時間が2倍ほどに増えています。若者の平均が1日2時間程度なのに対し、高齢者の平均値は一日4時間。
ここから想像できるのは、何となく時間が余るようになって、テレビをついつい見て過ごしてしまう、ということです。新しい、自分に合った趣味を見つけられずにいるのかもしれません。
テレビが面白くてこれが趣味になっている、という方も多いと思いますが、ただぼーっとテレビを見ているのであれば、認知症予防の観点からみて少し危険な状態と考えておいたほうが良いでしょう。
仕事、メディア以外の比較
仕事の時間が大幅に減り、メディアに使う時間が上記のように2倍になったほかはあまり目立った違いは見られません。
睡眠、食事、身の回りのこと、くつろぎの時間などが微増、家事関連時間は少し増えています。仕事がなくなった分、家事を手伝うようになった、ということなのかもしれません。
家事は脳トレーニングにもプラスですし、体力の衰えを防ぐ意味でも効果が期待できます。
「その他」の増加
もう一つ、「その他」という項目がありました。若者と比較したとき、家事関連時間同様少し増えているのがわかります。
おそらく、趣味の時間がここに含まれるのだと思います。第2の人生の生きがいとして、趣味を見つけてそれに時間を割いている、という結果ではないかと思います。
この調査から思うこと
仕事を終えた時、そのために使っていた時間をどうやって使っていくのか、「これからどうやって時間を使おうか」と考えることもあると思います。
ただなんとなくテレビを見て過ごすのも楽しいかもしれませんが、脳の健康、体の健康のことを考えるなら、生きがいと言えるような趣味を持ったほうが認知症予防にもなり、その趣味で社会と触れ合えるなら孤独にもならずに楽しく過ごせるのではないかと思います。
この調査の中で、一人暮らしの高齢者が一人でいる時間の平均は12時間以上にも及びます。これに睡眠時間は含まれていません。平均的な睡眠時間をプラスすると、19時間半を超えます。これが平均値なのですから、きっと一日人と会うのは買い物くらい、という一人暮らしの高齢者は多いのではないでしょうか。
この調査の目的の一つとして、高齢化社会における高齢者の社会参加を挙げていました。これが進んで、ただ何となくテレビを見る時間や、高齢者が一人でいる時間が、社会参加(ボランティア等)に代わり、社会参加を生きがいとして、生き生きと活動できる社会になることを期待したいです。
そうなれば、認知症を取り巻く環境もまた少し、変わってくるのかも知れません。
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