認知症予防と若脳

適量のお酒は認知症予防に有効?

統計では少量のお酒は予防にプラス

認知症対策として、予防のために適量のお酒は効果がある、と聞いたことがあると思います。これは事実という統計結果が出ています。厚生労働省による生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、アルコール摂取と認知症の関係は、一週間あたりの飲酒量と認知症の危険性(高齢男性)のグラフにあるように、1週間に1~6本(1本は350mlのビール1本相当)の飲酒をしている人が最も認知症のリスクが低いという結果になりました。

ハワイでの統計でも、「1日にビール1本相当以下の飲酒量で最も認知機能の低下が少なく、少量ないし中等量の飲酒は高齢になって認知機能が低下する危険性を22-40%下げる」という結果が出ており、毎日350mlのビール1本程度なら、適量といえそうです。

それならばお酒を飲まない人も少し飲み始めたほうがいいのでしょうか。

飲まない人が飲んで認知症のリスクが下がったという話ではない

「しかしご注意いただきたいのは、元々飲酒する習慣がない人が飲酒した場合に認知症を予防するという証拠はどこにもない」とアルコールと認知症のページe-ヘルスネット 内)にも書かれています。

元々飲まない人がわざわざ飲み始めて、認知症のリスクが下がるかというと、その検証データはないということです。さらに、お酒には依存性があります。

お酒を飲むとついつい飲みすぎて・・・こんなに飲んでは体に良くないとわかっているんだけれど、やめられない。そんな人が多いのが現実です。
彼らは当然のように飲みすぎは良くない、とわかっており、だからと言ってやめられない、という現実があるのです。
それだけお酒には強い依存性があります。

もし、あなたがお酒を全く飲まない人なら、「適量のお酒なら認知症の予防効果がある」と聞いて、飲んだほうがいいのか、と考えたこともあるかもしれません。
しかし、それは諸刃の剣といえます。
飲み始めることで、体がお酒を求めるようになり、どんどん飲む量が増えてかえって健康を害する可能性があるのです。

お酒を飲み始める、よりも、脳を鍛えたりウォーキングをするほうがよほどリスクもなく認知症予防に高い効果を得ることができます。
わざわざお酒を飲むというのは推奨されるものではありません。
今現在お酒を飲んでいる方は、適量ならばかえっていいものなんですよ、ということである、と考えたほうがよさそうです。