信州大学学術研究院医学系特任教授の能勢博氏の研究結果によると、効果があるのはただ歩くだけの1日1万歩ではなく、「インターバル速歩」なのだそうです。
インターバル速歩とは
インターバル速歩とは、早歩きとゆっくり歩きを交互にするものです。これを1日30分以上、週4日以上行うことで、体力が大幅に向上するのだとか。
それよりも早歩きのみのほうが体に負荷がかかって体力向上にいいはず…と思いますよね。能勢博氏によると、これだと誰もやらないのだそうです。30分も早歩きすることを考えると、しんどいですし、場所選びも大変そうです。
体力の低下が生活習慣病やがんや認知症を招く
年齢と共に低下していく筋力。これは加齢現象の一つなので逃れることはできないものです。決して運動不足のせいではありません。しかし、運動によってそれを補うことはできます。さらに、それと共に体力低下が起こり、それが様々な病気の原因となっているということが統計学から見えていたと言います。
高血圧、糖尿病、認知症、うつ、がん…。これらの発症率は体力低下と共に上がっていくのです。
インターバル速歩の効果
インターバル速歩を1日30分以上、週4日以上を5か月間続けた7300人の中高年の方々の結果が下記だそうです。(「ウォーキングの科学――10歳若返る、本当に効果的な歩き方」能勢博著/ブルーバックス より)
『体力が最大20%向上、高血圧、高血糖、肥満などの生活習慣病指標が20%改善、膝痛・腰痛などの症状が50%改善、そのほか、うつ症状、認知機能も有意に改善した』
体を動かすことで、広い範囲で生活習慣病と呼ばれる疾患が改善されるのはイメージがしやすいですが、いったい何をすればいいのだろう?という疑問の答えが「インターバル速歩」なのだと言えそうです。
インターバル速歩の利点
インターバル速歩は早歩きとゆっくり歩きを交互に行う運動です。
歩道が広めの道や人通りの少ない道、公園など、多少場所や時間は選ぶでしょうが、それ以外に制約が少ないところが大きな利点です。
歩きやすい靴と万歩計(やる気の為)くらいがあれば、今日からでもすぐに始められます。ジムに通うとか、トレーニングマシンを用意するというハードルはありません。
30分が厳しければ、10分からでもいいのではないでしょうか。
筋力低下が「加齢現象」なのです。肌のしわが増えるのと同じように、誰もが直面する「老い」の1つです。ですから、何もしないでいるとそのうち要介護が見えてしまうかもしれません。健康寿命に大きく関係する「筋力低下と体力低下」を防ぐ方法の1つとして、インターバル速歩は覚えておいて損はない運動です。