老後の備え

「働けるうちはいつまでも」働きたい高齢者が約4割。働くメリットとは

今より高齢になっても働き続けたいと考えている高齢者が非常に多いことが、『令和2年版高齢社会白書』及び 『平成29年版高齢社会白書』 から読み取ることができます。現在の実態と、高齢者が働きたいと考える理由をまとめました。データは全て『令和2年版高齢社会白書』と『平成29年版高齢社会白書』の調査結果が掲載されている内閣府のウェブページから引用しています。

働けるならずっと働いていたい人が多数を占める結果に

「あなたは、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいですか」という問いに、4割強の人が「働けるうちはいつまでも」と答えました。調査対象は全国の働いている60歳以上の男女です。

高齢者の就業状況

若い人から見ると意外と多い数字と思われるのではないでしょうか。高齢になったら年金を得ながらゆっくりしたいし、好きなこともしたいと考えそうなものですが、実際は「働けるうちは働きたい」、つまり、体の動くうちは働いていたいと考える人が多いのです。

「働けるうちはいつまでも」と、「80歳くらいまで」を合わせると50%に迫る数字になります。一生働きたいといっても差し支えない人たちが半数いるとは驚きです。

実際の高齢者の就業状態

では、実際に高齢者の就業状態はどうなっているでしょうか。男女別に比較しました。

高齢者の就業状況

このデータからは、多くの人が60代までに退職し、70代以上で働いている人は特に女性では一握りであることがわかります。一生働いていたいと考える高齢者が多い割には実際に働いている人は少ないという印象です。

高齢者がいつまでも働きたい理由とは

高齢者が仕事をしている理由は、半数近くが「収入が欲しいから」と答えています。次いで多いのが「老化防止・健康維持」です。「今までの経験や知識を活かせるから」及び「楽しいから」という理由も割合が多く、働くこと自体を「生きがい」としている人も一定数いることがわかります。

高齢者が仕事をしている理由

高齢になっても働くメリットとは

高齢になっても仕事を続けるメリットはどのようなものがあるでしょうか。

仕事を続けるメリット1:収入を得る

多くの人が働く理由に挙げている「収入」は大きなメリットです。経済的な自由が増えますし、老後の不安も和らぐでしょう。

仕事を続けるメリット2:脳の活性化と認知症予防

仕事をするということは、役割を果たす責任を負います。また、臨機応変な対応が求められ、同僚や取引先とのやり取りも生まれます。新たに学ぶことも続ける必要があり、常に仕事全体に気を配らなければいけません。脳は程よい緊張感を保ち続け、忙しく働き続けますから、認知症予防に高い効果を発揮します。

仕事を続けるメリット3:生活のメリハリが生まれる

メリット2にも通じますが、生活にメリハリが生まれ、日々の暮らしがマンネリ化することを避けることができるでしょう。職場には様々な年齢の人がいますから、世代の違う人との会話も良い刺激になります。

仕事を続けるメリット4:社会と繋がれる

社会との繋がりがあれば、孤独感を感じずにすみます。また、社会の中での役割を持つことで「誰かの役に立つ存在であり続けたい」という承認欲求を満たすことができます。

仕事を続けるメリット5:時間を有効に使える

「時間を持て余したから」仕事を続ける人もいます。特に男性は生活の中心が会社での仕事という人が多く、定年を迎え退職してから、何をしていいのかわからなくなってしまう人も多いものです。毎日何となく過ごすくらいなら、収入を得られる仕事をしたほうがいいと考える人も多いでしょう。

仕事を続けるメリット6:身体の健康を保てる

毎日身支度をして会社に行くだけでも体力を必要とします。リモートワークであっても仕事を続ける体力が求められます。自分の健康状態に合わせて仕事をもっと選べるようになれば、健康寿命も今より伸びていきそうです。

これから迎える超高齢化社会で、働きたい意欲のある高齢者が、いかんなく力を発揮できる環境が整っていくことが期待されますね。