健康と抗加齢(アンチエイジング)

『75歳』から本当の老化が始まる -元気に長生きするには?-

65歳~74歳は前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と呼びますが、この分け方は『75歳』以降に老け込んでいく人が多いことが理由にあるのかもしれません。

身体の機能低下を顕著に感じるのは後期高齢者から

65歳になり、数字上は高齢者の枠に入っても、意外と体は元気で、まだまだ長距離を平気で歩ける人が多いでしょう。「65歳以上が高齢者」という規定は、国際的な機関である世界保健機関(WHO)で定められているものなので、これを変えることはできません。
 しかし、日本老年学会・日本老年医学会は、2017年に『65歳』を高齢者とすることへの疑問から、『新たな区分』を提言しました。

高齢者の定義に対する新たな区分とは

日本老年学会・日本老年医学会によって提言された高齢者の新しい区分
65~74歳…『准高齢者』
75~89歳…『高齢者』
90歳以上…『超高齢者』

今の日本人の『65歳』はとても元気な方が多いですし、まだまだ『中年』と思える人もたくさんいらっしゃいますよね。こう考えると、この分け方は現代日本人にはちょうどいい分け方ではないかと感じます。
一般的に知られている『後期高齢者』の区分が、この分け方では『高齢者』~『超高齢者』に当たります。

『75歳』が老化の分かれ道

どちらの区分でも、完全に『高齢者』としての区分となる『75歳』。

人は、75歳くらいになると、特に筋力と骨密度の衰えから、身体の機能低下が目立ってくるといいます。
60代ではまだまだ元気で、高齢者という意識は自分の中でも生まれず、50代と変わらず精力的に活動する人も多い年齢です。
しかし、筋力の衰えは、一般的に70歳くらいから大きくなっていくといわれ、75歳になるころには感じやすくなっていきます。
骨密度の衰えは、特に閉経後の女性に目立ちます。骨粗鬆症は男性より女性のほうが多く、転倒だけでなく、体をひねっただけでも骨折してしまうリスクも上がっていきます。特に歩行を支える大腿骨の骨折は、寝たきりの理由にもなりますから、骨粗鬆症になる前に骨に意識を向けて対策をしておきたいものです。

また、70代後半は、『がん』の発症が最も多い年齢だといいます。体の免疫力ががん細胞の増殖を抑えきれなくなっていくということですね。がん細胞は私たちの体の中に毎日生まれているものです。免疫機能がそれを毎日処理することで私たちはがん細胞の増殖を抑え、発症せずにいるのです。この、がん細胞と戦う力もこのころになると衰えていくのが一般的です。
若いころよりも多くの体への気遣いが体の健康のために大切なのです。

色々な方向から、体の不調が増えていきますから、元気なまま長生きするためには、常に体に気を使う必要がありそうです。

外出を億劫に感じると老化が加速

特に定年後の男性は、もともと近所づきあいもなく、外出を嫌がる人も多くなりがちです。
外出が減ると、急激に筋力が衰えて(サルコペニア)しまい、老化の加速に繋がります。
することがなく、一日をぼーっと何となく過ごしてしまうと、脳もどんどん衰え、それが外に行く意欲を低下させ、悪循環に陥ってしまいます。

小さな外出理由を見つけたり、趣味を見つけたり、歩数計を身に付けて散歩したりと、少しでも外出が楽しくなる工夫をして、筋力の低下を抑止していきたいところです。

体を動かすか、じっとしているかで、その後の筋力の差が1日1日と開いていきます。
歩きやすい散歩ルートの確保のために、近所を歩き回ってみるのも、新しい発見があって楽しいものですよ。



参考:ダイヤモンド・オンライン/日本老年学会・日本老年医学会ウェブサイト