認知症予防と若脳

バイリンガルは認知症の発症が5年遅くなる ーカナダとインドの研究よりー

2つ以上の言語を話すことができる『バイリンガル』。彼らは認知症の発症年齢が、遅いという研究結果があります。

バイリンガルは認知症の発症が遅い!?

カナダ、インド、アメリカ等の様々な研究で、いずれもバイリンガルはモノリンガル(1つの言語)より認知症の発症年齢が平均で5年程度遅いという結果がでています。

カナダの研究:バイリンガルと認知症の関連を調べた研究

カナダのベイクレスト老人医療センター附属ロットマン研究所では、アルツハイマー病患者211人のカルテを調べ、バイリンガルの人は、そうでない人に比べて5年程度認知症の発症年齢が遅いことに気が付きました。

別の研究では、ベイクレスト記憶診療所(トロント)を受診したアルツハイマー病などの認知症の患者184人に対してデータを分析を行い、バイリンガル(93人)は、モノリンガル(91人)に比べて平均で4.1年、認知症の発症が遅れたことを突き止めました。

インドの研究:米国神経学会誌に掲載された認知症とバイリンガルの研究

調査対象は648名で平均年齢は62歳。内391人が2か国語以上を話すバイリンガル。
この調査は、ハイダラーバードの研究所が行ったもので、対象者に対し、教育水準や、職業、年齢などについて聞き取り調査を行なったものです。

結果として、バイリンガルの人たちの平均認知症発症年齢は65.6歳、そうでない人は61.1歳と、その開きは4.5歳でした。認知症の危険因子の一つに「低教育水準」があるが、今回の調査対象には、教育水準が低くても、多言語を話す人たちが含まれていました。
教育水準が高い=脳をよく使っている⇒ゆえに、認知症になりにくいという考え方を取れば、バイリンガルの人たちはそれだけ脳をたくさん使っているから認知症の発症が抑えられたということになりそうです。

「バイリンガル」になれなくても、脳を使うことが大事

インドは他言語国家ですから、バイリンガルな人は数多くいます。上記の研究で648人中391人が多言語を操ることからもその多さがわかります。

認知症の発症を遅らせたいから、バイリンガルにならないと?と考える必要はありません。
日本は島国で、モノリンガルの人が圧倒的に多いですし、日本語以外を話す人と触れ合う機会も少ないです。たとえバイリンガルでも、普段全く使わないのであれば、ここでいう「バイリンガルの効果」は得られません。

バイリンガルで、普段から多言語を話す人はそれだけ脳を使っているということでしょう。
無理して島国日本でバイリンガルを目指すより、脳を使う他の趣味を見つけるほうが、認知症予防には効果があると考えられます。
もちろん、言語を習得するという趣味であれば、認知症予防に大いに役立ちますね。