認知症と介護

『認知症高齢者の日常生活自立度』とその判定基準とは

認知症の高齢者の症状により、日常生活自立度をランクⅠ~Ⅳに分ける基準があります。このページの説明は、厚生労働省サイト内にある『認知症高齢者の日常生活自立度』のページを参考にしています。

認知症高齢者の日常生活自立度

※数字が大きくなるにつれてより重い症状となります。

『認知症』の重症度におけるランク分けとその基準

ランクⅠ 認知症と診断されているが日常生活はほぼ自立

【判定基準】何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。

1人暮らしも可能で、相談など少しのサポートで認知症の進行を遅らせたり、症状を改善させたり、よりよい生活を送るための工夫が可能です。
趣味などの活動もそれほど支障なくできるため、積極的な活動が症状の改善に役立ちます。

ランクⅡ 誰かの支援があれば自立を保つことができる

【判定基準】日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。

この判定基準の内容が家庭外で起きるか、家庭内でも起こるかによってランクはⅡaとⅡbに分けられます。

ランクⅡa たびたび道に迷う

【判定基準】家庭外で上記Ⅱの症状がみられる。

症状としては、たびたび道に迷うとか、買い物や事務、金銭管理などそれまでできていたことにミスが目立つ等があります。

ランクⅡb 薬の服用が1人でできない

【判定基準】家庭内でも上記Ⅱの症状がみられる。

症状としては、服用管理ができない、電話の対応や訪問者との対応などひとりで留守番ができない等があります。

ランクⅢ 日常生活に支障をきたす症状が出始める

【判定基準】日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする

この判定基準の内容が日中のみで起きるか、夜間でも起こるかによってランクはⅡaとⅡbに分けられます。
日常生活を一人で行うことはできず、介護を必要としますが、常に目を離せないほどの状態ではなく、在宅での生活を続けることが基本で、介護者の負担を軽減するため複数のサービスを利用することが必要です。

ランクⅢa 着替えや食事がうまくできない

【判定基準】日中を中心として上記Ⅲの症状が見られる。

症状としては、着替え、食事、排せつ及び排尿が上手にできなかったり時間がかかったりする。やたらに物を口に入れる、物を拾い集める。徘徊、失禁、大声や奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的異常行動等があります。

ランクⅢb 夜間に症状がでやすい

【判定基準】夜間を中心として上記Ⅲの症状が見られる。

症状はランクⅢaと同様ですが、夜間を中心に起こります。

ランクⅣ 常に介護を必要とする

【判定基準】日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。

見られる症状はランクⅢと同様ですが、頻度が上がります。

在宅での生活を続けるか、専門の施設への入居をするか、本人の状態を考えての選択が求められます。

ランクM 専門医療が必要

【判定基準】著しい精神状態や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。

症状としては、せん妄や妄想、興奮、自傷、他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態などがあります。

ランクに合わせたサービスの利用を

認知症に関わるサービスは多岐にわたるため、在宅でのなるべく自立した生活が長く続けられるようそれらのサービスを活用していくことが基本となります。

認知症は早期発見と適切な対処が重要で、予後を大きく変えていきます。
家族の状態がおかしいなと思ったら、なるべく早く『もの忘れ外来』などの適切な医療機関へ。