認知症と介護

認知症の平均余命は何年?10年生存率は何%?

自分が認知症を発症したことを想像したとき、家族が認知症になったとき、気になることの1つが「あと何年生きられるのか」でしょう。
認知症は余命が長い疾患の1つとして認識されています。
発症から10年後もご存命というケースは全く珍しくありません。
しかし、一口に「認知症」といっても種類によって余命は異なります。「がん」も種類によって平均余命が異なるように、認知症の余命にも違いがあります。

アルツハイマー型認知症が最も10年生存率が高い

認知症を発症してからの生命予後の平均値は7~10年ほどといわれています。ただ、発症してすぐに診断されるケースは少なく、2~3年ほどたってから診断されることを考慮に入れると、感覚的にはもう少し短くなると考えておいたほうがよさそうです。

認知症の中で最も割合が多いアルツハイマー型認知症(全体の約6割)は、発症からの平均余命(生命予後の平均)が認知症の中で比較的長いことが知られています。

アルツハイマー型認知症は、10年生存率が18.9%となっており、予後全体をみてもその他と比べて良好と考えられています。次いで血管性認知症で13.2%、その後は混合型が10.4%、レビー小体型認知症2.2%と続き、予後についても同様の傾向が見られます。
前頭側頭型認知症(ピック病)はレビー小体型認知症と比べても予後が悪い傾向にありますが、平均余命については、行動障害型で6~9年、意味性認知症でおよそ12年という報告があります。これは、前頭側頭型認知症(ピック病)の発症年齢が主に40~60歳と若いことも関係していると考えられます。

認知症の余命に関係する因子とは

たとえば、アルツハイマー型認知症を発症した人が発症時100才であった場合と、発症時65才であった場合を比べれば、余命はきっと65才であった人のほうが長いだろうということは想像できます。このように余命を左右する因子はいくつかあります。

認知症発症時の年齢

アルツハイマー型認知症の10年生存率は18.9%ですが、例えば、90才で発症した人だけに限って統計をしたら、18.9%よりはだいぶん小さな数字になるでしょう。
ただ、統計では90才で発症した人は、認知症を持たない群に比べて平均で4割余命が短くなるのに対し、65才で発症した人は平均で7割弱も短くなるというデータがあります。

性別

認知症を患った人の性別から考えると、男性のほうが余命が短い傾向にあるといいます。
認知症との関連についてはまだまだ研究段階です。

診断を受けた時の状態

余命を考えるのは、認知症であると診断を受けた後でしょう。診断を受けた時点で発症からどの程度経過しているのか、症状はどの程度進んでいるのかなどによって余命は異なります。

進行の速度

認知症は人によって進行の速さが違います。進行が早ければ生命予後も悪くなりますし、緩やかな進行をたどって長く生きる人もいます。

認知症を発症してから「あと何年生きるか」は人によって異なる

認知症の種類、発症年齢、進行の速さ、治療の効果、発症してからの生活…認知症は生命予後がケースによって異なるため、人によって異なります。
ただ、認知症を発症すると最終的に肺炎や衰弱によって死に至るという経過をたどることは確かと言えます。

認知症は世界全体で患者数が増えており、研究も進んでいる分野の1つです。早く治療薬が開発され、予後が変わっていくことが期待されます。