レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と共に患う人の多い認知症です。アルツハイマー型認知症との違いなどをまとめました。
レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞の中に『レビー小体』という構造物が生じてしまい、それがたまることで様々な症状が現れる認知症です。
脳血管性認知症と同様に男性に多く、好発年齢は65歳以上です。
主な症状は、認知機能障害、幻視、パーキンソン症状です。
症状の波と出方から、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、うつ病などと診断されてしまうことも多く、注意が必要です。
認知機能障害とは
もの忘れなど、アルツハイマー型認知症に似た認知症の症状があります。
記憶力や判断力、理解力などが低下し、また、いつどこでといった場所や時間に関する感覚が不鮮明になり、会話も理解しにくくなっていきます。
ただ、レビー小体型認知症の場合、認知機能の良いとき、悪いときの波があるため、家族もなかなか病気と気づきにくく、早期発見の難しい認知症です。
幻視とは
幻視とは、実際にはないものが見える症状です。「知らない人がいる」、「寝室に子供がいる」など、具体的ではっきりとした幻視を繰り返します。幻視は夜間に起こることが多いようです。
レビー小体によって、記憶に関わる側頭葉や視覚に関わる後頭葉などが侵されることで、幻視が起きるとされています。
パーキンソン症状とは
パーキンソン病もレビー小体型認知症と同様にレビー小体が神経細胞内に出現することで起きる病です。レビー小体型認知症は、パーキンソン病よりも広範囲にレビー小体が現れることが特徴です。
パーキンソン症状とは、手足の震えや筋肉のこわばり、動作が遅くなり姿勢が不安定になるなどの症状で、症状が進むと転倒のリスクが高くなります。このため、レビー小体型認知症は寝たきりになりやすい認知症です。
自律神経が障害されることで、便秘や失禁、立ち眩みなどを起しやすくなるのもこの症状の1つです。
その他の症状
うつを始めとした精神症状、睡眠中に暴れたり大声を上げたりする睡眠障害、無気力状態と興奮状態を繰り返すなどの症状があげられます。
レビー小体型認知症の治療
他の認知症と同様に、レビー小体型認知症を治す治療法は今の所ありません。
生活環境を整えたり、リハビリを行なったり、症状に応じた薬を使うことになるでしょう。
薬は、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病に使われる薬がメインになると思われます。
気になる症状があったら、脳神経内科を受診してください。
アルツハイマー型認知症との違い
アルツハイマー型認知症よりも、その時によって症状の波がある場合が多く、初期の調子のよいときは認知症と感じさせません。本人も自覚症状がないケースが多いといいます。
幻視やパーキンソン症状はアルツハイマー型認知症ではあまり起こりません(アルツハイマー型認知症が進行すると幻視が現れる場合があります)。
アルツハイマー型認知症などのほかの認知症に比べ、レビー小体型認知症は進行が早いことも特徴です。
診断においては、脳の画像から、海馬の萎縮が多い(アルツハイマー型認知症)か、後頭葉に萎縮が見られるかなどから、総合的に判断されます。
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