認知症と介護

認知症の疑いのある家族を病院に連れていくには?

病院に行こうと言っても、「自分はボケてなんていない」、「病院には行かない」、「自分は大丈夫」と病院に行かない認知症の疑いのある家族。どうやって病院に連れて行けばいいのでしょうか?

早期発見で進行を遅らせることができる認知症

認知症は早期発見ができれば薬を服用したり、生活の中で気を付けたりすることで進行を遅らせることが可能です。
そのため、家族は早めに医師に診てもらうことを考えますが、本人はなかなか病院に行きたがらないケースが多くあります。

認知症の本人が病院に行きたがらない理由とは

これは、人によりさまざまではありますが、総じて「自分はボケていない」と信じたい気持ちがあるのではないかと考えられます。人には正常性バイアスがあり、例えば自身に危機が迫っていたとしても、その危険性を過小評価して「大丈夫。正常の範囲内」と、”何も起こらないし何もしなければ平穏が続く”と考えてしまう傾向があります。認知症は一般的に緩やかに進行しますから、”何もしなければこのままの生活が続くというのに、病院に行くと自分はボケているとか言われて大変なことになるのだ”と思うと行きたくないのも無理はないでしょう。今の平穏な日々が変わってしまうのですから。
 例えば、自分自身に病気の兆候があったとしても、「きっと大した病気ではないから休めばよくなる」と考えてしまいがちです。これが徐々に徐々に悪くなっていくと、調子の悪い自分がいつもになってしまい、ますます病院が遠のき、気づいたらかなり悪くなっていたということも容易に想像がつきますよね。

無理に病院連れていくのはデメリットも大きい

本人が行きたくないのであれば無理にでも連れて行かないと、と心配だからこそ考えてしまうものです。しかし本人は断固拒否。そんな場合に、「私、調子が悪いから病院に行くの。ついてきてくれない?」とか、「そろそろ健康診断を受けてみよう」などと騙して連れていくと、本人は「騙された!」と気が付きますし、家族の心理的な負担も非常に大きくなります。
それよりは、「こんなことやこんなことがあったよね。何か病気があるのかもしれない。治るものもあるのだし、診てもらおう」と納得してもらうほうが本人との関係性を崩さずにすみます。「健康診断を」という場合は、本当に健康診断を受けてもらい、医師に事情を話して対応してもらうほう方法もあるでしょう。
また、別の病気などで定期的に見てもらっているようなかかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医から話してもらうほうが本人のプライドを傷つけずに済む場合も多いでしょう。

医師の前ではピシッとしてしまう

いざ、医師に診てもらえても、家にいる時とは打って変わって別人のようにしっかりすることが多々あります。認知症の症状に精通してる医師であれば家族の話から症状を的確に理解するでしょうが、医師によっては診断が難しいケースもあります。
また、認知症の症状は、うつと見分けがつきにくいものも多く、医師によっては「うつ」と判断してしまうかもしれません。
かかりつけ医に、専門医を紹介してもらうほうが確実です。

認知症の専門医と専門の医療機関がある

認知症は、全国各地に専門医がいます。また、それぞれの地域には「認知症疾患医療センター」という認知症専門の医療機関(全国約500か所)もあります。インターネットで「認知症疾患医療センター」で検索をすると、お住いの地域の認知症疾患医療センターを調べることができますので、相談をしてみることをお勧めします。