健康と抗加齢(アンチエイジング)

高齢者の1日の時間の使い方 若年者との比較で最も増えたのは?

公益社団法人長寿科学振興財団が行った2019年の調査と、総務省統計局の2011年の調査より、高齢者の1日の時間の使い方と、若年者との違いをまとめました。

高齢者が仕事時間の代わりに時間を使うこととは?

総務省統計局が発表した資料によると、高齢(65歳~74歳)になり最も時間の使い方として変化するのは、「仕事に関する時間」です。定年を迎えたり、今までとは働き方を変える人が増える影響で、若年者(25~34歳)と比較すると3分の1程度に減っています。

代わりに増えてくるのが、テレビや雑誌を見る時間です。若年者と比較すると、2倍以上に増え、1日3時間以上となっています。
⇒総務省統計局による「高齢者はどのような行動にどれくらいの時間を費やしているのか」より
この調査は2011年によるものなので、現在は少し違っているかもしれませんが、仕事の時間が減少した分を、何となく過ごしている人が多いということが推測できます。

高齢になればなるほど『余暇時間』が増えていく

増えた自由時間を何となく過ごす人が多いことは、 公益社団法人長寿科学振興財団が行った2019年の調査 からもうかがい知れます。

調査は、60~64歳、65~69歳、70~74歳、75~79歳、80~84歳、85歳以上と、5歳ごとに細かく分けて、高齢者の1日の時間の使い方を調べたものです。

仕事時間は顕著に減少

この調査は、活動を 1次活動、2次活動、3次活動という3つに分けて集計したものです。

・1次活動( 睡眠・食事・身のまわりの用事など、生きるために必要な活動のこと)
・2次活動( 2次活動とは、通勤・通学、仕事、学業、家事、介護・看護、育児、買い物など、社会生活を送るうえで、日常的に行わなければならない義務的な活動のこと)
・3次活動( テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・研究(「学業」以外)、趣味・娯楽、スポーツ、社会的活動、交際・付き合い、受診・療養などと言った余暇時間)

その結果、年齢が上がるにつれて2次活動(特に仕事の時間)は減少していくことがわかりました。
60~64歳では1日平均で218分(約3時間半)、65~69歳では137時間(約2時間超)、70~74歳では80分と減っていきます。

テレビや雑誌の時間と、くつろぎの時間が増える

年齢が上がるについて確実に伸びていくのが、テレビやラジオ、雑誌、新聞に費やす時間と、くつろぎの時間です。これらの時間は趣味の時間とは異なります。
ここから見えてくるのは、時間を持て余している人が多いこと、何となく使う時間が増えてくることです。
また、社会と繋がる時間が減ってくることもこのデータから見えてきます。

脳にとって楽な時間が増えていく

テレビを見たり、くつろいだりする時間は脳にとってはとても楽な時間です。しかし、楽な時間は脳を衰えさせる原因になってしまいます。
脳は使えば使うほど神経細胞が増えたり、神経細胞同士の繋がりが強固になりますが、使わない時間が増えると、次第に脳細胞の減少スピードが速くなり、神経細胞同士の繋がりも減っていきます。

生きがいや趣味、学習したいことなどが見つかれば、脳は活発に働き、認知症を遠ざけることができるでしょう。まずは好きなジャンルを中心に、様々なジャンルの本を読むことから始めてみるのもよさそうです。