認知症にはどのような治療薬があり、どのような効果があるのかをまとめました。
認知症の治療薬は現在5種類
現在、日本で承認されている認知症の治療薬は以下の5種類があります。
最も耳馴染みのある治療薬の「アリセプト」を始め、「メマリー」、「レミニール」、「リバスタッチパッチ/イクロセンパッチ」があります。
現在、認知症の根本的な治療薬は開発されておらず、上記のすべての薬は症状の進行を抑える目的で使用されます。薬を服用しない場合と比べて、症状の進行は2分の1~3分の1程度に抑えられるとされています。より早く飲み始めれば、それだけ症状の進行を抑えられるのですから、認知症は早期発見が重要ということですね。
アリセプトについて
ドネペジルから作られた製品で、最も知名度のある認知症治療薬で、アルツハイマー型以外にもレビー小体型認知症での使用がなされています。古くから使用されている薬で、その形状も通常の錠剤以外にOD錠(口の中で溶かして服用)、ゼリー剤、細粒など様々です。
効果としては、学習や記憶に関係するアセチルコリンという神経伝達物質の分解を抑制するものです。アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを抑え、アセチルコリンの分解を阻止する 『アリセプトと同様に『アセチルコリンエステラーゼ阻害薬』です。
よくある副作用は食欲不振や吐気、嘔吐などの消化器官に起こるものです。薬になれないうちは副作用がでやすいため注意が必要です。副作用に対処するため、吐気止めや整腸剤が処方されることもあります。あまり副作用が酷い場合はリバスタッチパッチなどのパッチ剤の使用も考える必要があるかもしれません。
他にも怒りっぽくなるなどの症状が出る場合があります。
服用は1日1回で、症状が進んだ患者でも唯一使用できるという点が特徴です。
メマリーについて
他の薬と作用が違い 、『アセチルコリンエステラーゼ阻害薬』ではなく『NMDA受容体拮抗剤』です。働きが異なるため、アリセプトとの併用が可能です。服用は1日1回です。
メマリーはメマンチンから製品化された薬で、認知症によって過剰になったグルタミン酸を抑制し、グルタミン酸が過剰になったことによる記憶障害を改善する効果が期待されています。
主な副作用は服用初期に起こる眩暈を始め、頭痛、食欲不振などです。
認知症の症状がある程度進んだ場合に処方される薬で、症状が軽度の段階では効果が発揮されないとされています。
レミニールについて
レミニールはガランタミンという薬から作られた製品で、認知症の軽度から中程度に適用される薬です。
アリセプト同様に『アリセプトと同様にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬』としてアセチルコリンエステラーゼの働きを抑える効果に加え、アセチルコリンの働きを助ける効果もある薬です。
こちらは他の薬と違い、1日2回の服用が必要です。
よくある副作用は食欲不振、下痢、吐気、眩暈などです。
リバスタッチパッチとイクセロンパッチについて
こちらの2つの薬はリバスチグミンという薬から作られた製品で、2社からそれぞれ「リバスタッチパッチ」、「イクセロンパッチ」の名前で発売されています。効果は同じで、双方張り薬です。
効果としては、『アリセプトと同様にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬』に分類されます。こちらの薬は、アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼとブチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンを守ります。結果として脳内の密度の減少を抑制することができます。
張り薬と飲み薬の併用はありません。飲み薬は最初に消化される消化器官などで副作用がでるなど、副作用の出方が違うため、人によって処方される薬は変ります。
張り薬は、最初は少ない量から始め、体を慣らしながら量を増やします。その分張る面積も広くなります。使用は1日1回です。
認知症の新薬について
2021年6月、新薬として『アデュカヌマブ』がアメリカで承認されました。しかし、効果が疑問視され同年12月日本での承認は見送りとなりその後継続審議となっています。