認知症と介護

ドイツで実際に行われている徘徊防止対策 ニセのバス停

認知症の方の徘徊を防止するために、ドイツでは『ニセモノのバス停』が設置されている所があります。

徘徊を「阻止」するのではなく、自然に忘れさせる

認知症の方は、否定されると不安が大きくなり、精神的に不安定になることが多くあります。
ですから、介護士の方も、徘徊を制止するより、一緒に出掛けるなど、認知症患者に寄りそっています。

そんな中、ドイツにある介護施設が、バス会社と協力して作ったものが、 『ニセモノのバス停』 です。
徘徊しようとする高齢者の多くは、公共交通機関を使って移動しようとしていました。認知症の方は、目的なくフラフラ出て行ってしまうのではなく、多くの場合「家に帰る」、「会社に行く」などの明確な目的を持っています。大抵は歩いていける距離ではありませんから、公共交通機関を使うことになるのです。

施設を出た認知症の高齢者は、バス停を見て、ベンチに腰を掛けます。
しかし、このバス停はニセモノですから、当然バスは来ません。

介護施設の職員は、バス停にいる高齢者にそっと声を掛けます。「バスが遅れていますね。中で待ちませんか」。施設の中に入った認知症の高齢者は、目的を忘れ、徘徊を辞めるのです。

徘徊を止めることなく、否定することなく、自然にやめさせる、グッドアイデアでした。