認知症と介護

軽度認知障害(MCI)を改善する4つの方法とは

認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症と、健常者の中間に位置する軽度認知障害(MCI)。この段階で改善させることができれば、認知症への移行を予防できる可能性が高くなります。軽度認知障害(MCI)から改善する3つの方法をまとめました。

軽度認知障害(MCI)とは

軽度認知障害(MCI)からV字回復した例も

軽度認知障害と診断された方は、年で5%~15%の率で認知症に移行すると考えられています。
一方で、年16%~41%で正常の範囲に復帰すると『認知症疾患診療ガイドライン2017』の『第4章 経過と治療』147ページに書かれています。

16%~41%というのは幅が広いですが、正常の範囲への復帰が見込めるのが軽度認知障害(MCI)です。
認知症に移行してしまうと、現在の所治療法はありませんから、軽度認知障害のうちに食い止め、改善することが重要と考えられています。

軽度認知障害と一口に言っても、脳のどのくらいの範囲に及ぶのか、萎縮が軽度なのかどうかなどによって回復率は異なります。早期発見がいかに重要かわかるデータです。
特に初期には記憶障害があまりないタイプの軽度認知障害(趣味に関心が無くなる、複数のことを同時にできなくなるなど、もの忘れ以外の症状も軽度認知障害には多数あります)は気づきにくいので注意が必要です。

軽度認知障害(MCI)から認知症に移行しないために

軽度認知障害(MCI)と診断されたら、まず考えることは「認知症に移行するのを予防する」ことでしょう。実際、この時期の行動によって、後に認知症に移行する人もいれば、軽度認知障害のまま維持する人、正常範囲にい回復する人もいます。

軽度認知障害から回復するためにできることは、主に下記の4つが考えられます。

1:運動をする

ウォーキングやジョギングなど、体を動かすと脳の血流量が増加し、脳の神経細胞が活性化します。また、運動の際に合わせて頭を使うトレーニングを行うと、効果がアップします。

たとえば、下記のようなものを、ウォーキングや踏み台昇降などの運動と組み合わせると効果的です。

運動と組み合わせると効果的な頭を使うこと

・しりとり
・計算(100から7ずつ引いていくなど)
・車のナンバーを加算
・「か」がつく言葉をたくさん上げる
・「ふじさん→んさじふ」と、思いついた言葉や、見えたもの名前を言葉を逆さに言う

2:バランスの取れた食事

軽度認知障害から認知症に移行するのを防ぐためには、バランスの取れた食事が大切です。
バランスの取れた食事は、認知症に関わらず、全ての病気に言われることですが、それだけ食は重要ということです。
軽度認知障害の回復や維持を目的とするなら、バランスの取れた食事に加えて、下記のような食事が有効とされています。

認知症予防のための食べ物

・魚(DHA、EPA)
・大豆製品(大豆レシチン)
・アマニ油やえごま油、
・オリーブオイル(オレイン酸)
・緑黄色野菜(ビタミンC/ビタミン)
・ナッツ類(ビタミンE)

高血圧や糖尿病といった生活習慣病が認知症の危険因子となるので、それを避ける食生活も軽度認知障害から認知症への移行を防ぐためにも大切です。

3:頭のトレーニング

脳は使えば使うほど神経細胞同士が強固に結びつき、情報の伝達速度を上げていきます。神経細胞は使われないと死滅しますから、たくさん使うことで脳の機能回復を促すことができます。
ただ、だからといって計算が嫌いなのに、計算ドリルを行なったり、面白くもないゲームを延々と行うのは逆効果です。脳トレーニングの効果をストレスの逆効果が上回ってしまいます。

当サイトの「パズルと計算プリント」カテゴリーや、姉妹サイトの「クイズ直感力!」、「シニアレク会館」に、楽しめるクイズやパズルを多数掲載しています。ぜひご利用ください。

4:趣味を楽しむ

熱中できる趣味が見つかれば、それを楽しむことで脳は活性化されます。心ときめく趣味であればあるほど、その効果が発揮されます。
もし、他人との関りがある趣味であれば、積極的に他人と会話することで、予防効果が高まりますので、気負いせずに参加することが有効です。