認知症と介護

認知症の種類 アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、ピック病など

大きく分けると、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症という2タイプに分けられます。このほかにも多くのタイプがあるのですが、認知症のほとんど(約90%)は下記2タイプであるといいます。
最も多いのがアルツハイマー型認知症で、全体の6割以上を占めます。

アルツハイマー型認知症

脳の神経細胞の減少や、脳の萎縮、脳への老人斑・変化した神経原線維の束が特徴です。
脳の中にタンパク質の一種であるβアミロイドが蓄積してしまうことが原因の一つであると考えられています。この蓄積が上記のような脳細胞への悪影響や委縮等を発生、進行させるようです。このβアミロイドが蓄積したものが老人斑となります。
しかし、なぜこのようなことが起こるのかという発症原因はいまだ分かっていません。

アルツハイマー型認知症は遺伝要素も関係しており、家族に認知症患者がいる場合は危険度が増します。また、アポリポ蛋白E4という遺伝子を生まれつき持っている人はアルツハイマー型認知症になる可能性が高くくなることが分かっています。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳卒中といった脳の血管が詰まったり破れたりする病気が原因で脳血管性認知症が現れます。

血管が老化し、血管が硬くなる動脈硬化が進むと、血管が狭くなります。血管が狭くなることで血液の循環が悪くなり、脳に十分な血液が行きわたらなくなり、徐々に脳細胞が壊死してゆきます。これが進むことでも、認知症の症状があらわれるといいます。

脳の血管の状態により段階的に症状が進むことが多い、血管が損傷を受けた部分によって症状のバラつきがあるなどが脳血管性認知症の特徴です。

レビー小体型認知症

アルツハイマー型、血管性と並び、3大認知症の1つとして名前が挙げられる病気。脳細胞にレビー小体という特殊な構造体が現れることで発症します。

症状としては、アルツハイマー病に似た記憶障害と、パーキンソン病に似た運動障害が現れます。症状が進行するとパーキンソン病の進行した症状と似ていき、同じ病気と扱われることもありますが、治療の方法などで違いがあるそうです。

初期のころに、幻覚症状が現れます。かなりリアリティな幻視があることが多く、人がたくさん家の中に押し入ってきたなど、自分ではこんな経験はおかしいと思いつつもはっきりとその光景を覚えているというような幻視であるようです。

・治療について
アセチルコリンという物質が低下しているので、これを増やす薬を使うなどして、症状を改善させることが期待できる病気です。
早期発見が重要で、適切な処置が進行を遅らせることに繋がります。

前頭側頭葉型認知症(ピック病)

40代~60代に発症することが多い病で、アルツハイマー病と比べてまだまだ研究が進んでおらず、謎の多い病気。

主な特徴としては、性格が変わり、怒りっぽくなります。
また、同じことを何度も何度も繰り返すなど、普通ではない行動をとるようになります。

万引きを繰り返す、暴力をふるうなど、反社会的な行動も平気でとるようになり、家族等を悩ませます。その上、なかなか理解してもらえない病でもあり、単なる万引き犯や、怒りっぽい暴力的な人と勘違いされ、社会的に非難され、さらに周囲を悩ませるでしょう。

また、「常同行動」という「毎日同じ時間に決まったことをする」という行動が見られるようになります。これを乱すとパニックを引き起こす恐れがあるので、本人を尊重する必要があるでしょう。

この病気の疑いがあると感じたら、早めに病院へ行き、症状を緩和するケアを受け、病気との向き合い方を教えてもらう必要があるでしょう。ただ、アルツハイマー型などと異なり、まだまだ効果的な薬の研究が進んでいない病気です。

パーキンソン病

ドーパミンニューロンが加齢とともに減少していくことで発症する病気で、誰しも加齢によってなる可能性のある病です。

最初に手足の震えがみられます。片手片足から症状が出るのが一般的で、徐々に両手両足に広がり、その後バランスを悪くしたり、歩行困難となっていき、最後には寝たきりになるといいます。
高齢者の多くは、手足が少し震えていたり、転倒しやすかったりと、この病気のような症状を持っているのが普通で、病的な範囲まで進行するとこの病気になると考えたほうがいいのかもしれません。

認知機能としては、幻覚、鬱、不安などが現れます。

この病気は患者数も多いことから、研究も進んでおり、近年では治療方法も目覚ましく進化しています。早めに病院へ行き、なるべく進行を遅らせることがこの病気と向き合う最大の一歩であるといえます。

その他の認知症

上記のいくつかが併発するケースや、アルコール性などがあります。

脳は筋肉と同じように使わないでいると脳が衰えますから、それによって認知症の症状が出るという医師もいます。これは、早期に発見し脳トレーニングや運動で改善できる可能性の高い認知症です。
実際、1週間の入院で歩けなくなったり、ボケてしまったりするお年寄りがいるのは事実で、前者が筋肉の衰えであり後者は脳の衰えであるというわけです。脳も筋肉同様使わないでいると簡単に衰えるのです。

普段からぼんやり過ごしてしまうことが多いという方は、もしかすると将来認知症の症状が出てしまうかもしれません。脳を使うことを日頃から心がけたいですね。