健康と抗加齢(アンチエイジング)

1時間座ると22分寿命が縮む?座りすぎのリスクと取り戻し方

座る時間が長いと、寿命が短くなるという衝撃的な研究結果が、オーストラリアの研究所により発表されました。

1時間座ると22分寿命が縮む!?

オーストラリアの研究所によるこの研究は、25歳以上の男女8800人を対象に6.6年にわたり追跡調査したもので、計算の結果、1時間座っていると寿命は22分も短くなるそうです。3時間座っていると1時間寿命が減ると考えると、恐ろしい研究結果です。
この研究結果については、医学誌「American Journal of Epidemiology(疫学)」オンライン版等、様々なメディアから記事が出ています。

世界の20か国の1日の平均座位時間は5時間、日本の成人は7時間だそうです。デスクワークの方はリラックスタイムも加算すると10時間は軽く突破してしまいそうです。となると、デスクワークの日本人は毎日寿命を3時間削っているという計算になってしまいます。

座りすぎは寿命を短くする

オーストラリアの別の研究でも、日に座っている時間が4時間未満の人に比べて、8〜11時間の人は死亡リスクが15%増、11時間以上になると40%増えるといいます。

座ることが体に悪影響を与える理由

座っている時、下半身の運動量は基本的にゼロになります。第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎの運動量もゼロになりますから、ふくらはぎは座っている間は血液を循環させるポンプの役割を全く果たしません。
つまり、血液が滞り、どろどろになっていきます。そこから血栓が生まれ…いわゆるエコノミークラス症候群の状態ですね。
私たちは座っている間、ずっと血液をドロドロにしていっていると考えなくてはいけないようです。

座ることによる死亡リスクを下げるには

新たな研究によると、1日に最低11分歩けば、ある程度のリスク回避になるということです。
座り続けると寿命が縮み、死亡リスクも上がりますが、意識して立ち上がり、歩くことでその危険度を大幅に下げることができるのです。
この研究結果は『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディスン』の特別号に掲載されました。

活動量を測る装置をつけた5万人の調査結果

活動量計をつけたアメリカの被験者約5万人の座る時間を元に集計した結果、多くの人は1日10時間以上座っていました。運動時間もかなり少ない人も多く、中には2~3分歩くだけという人も。

集計結果から見えてきたこと

まず、集計結果から、座る時間で3つのグループに分けました。さらに、運動時間についても3つのグループに分けます。たとえばAさんは座る時間は最も長いグループで、運動時間は2番目のグループに属する、というふうに分けられています。

ここから見えてきたのは、座る時間が最も長く、運動時間が最も短いグループに属している人は、反対に運動時間が最も長く、座る時間が最も短いグループに属している人に比べ、死亡リスクが2.6倍高かったという事です。

運動時間が中間のグループでいい

運動嫌いには、少しの運動を続けることも苦になります。しかし、この研究結果は運動すればするほどいいという結果にはなりませんでした。

運動時間が中間のグループの人たちは、座る時間が長くなっても短くなってもさほど影響は見られなかったそうです。中間のグループの運動時間は平均して「11分歩く」ということです。

1日11分のウォーキングが健康を保つ

1日11分はさほど大きな負担にはならないはずです。家の中動くように心がけ、座るより立つ時間を増やすなど、工夫次第で家に居ながらでもなんとかなりそうな運動量です。

座る時間を中断することが大切

イギリスの「座りすぎガイドライン(2011)」では、座る時間を短くすることを推奨し、2020年11月には、WHO(世界保健機関)が「身体活動と座位行動のためのガイドライン」を10年ぶりに更新し、「座位行動は最小限に留め、低強度でも身体活動を取り入れることを推奨する」と記載しました。

足の活動量が無くなることが悪さの原因なので、座っていても時々足を動かす(足首を回すとか、足を上下に動かすなど)ことや、30分毎に立ち上がって軽く歩くことなど、解消する行動はとれます。

仕事中やリラックスタイムで、「あ、しばらく座っているな?」と感じたらその場ですぐに立ち上がるようにしたり、アラームをセットしたり、立ったまま仕事ができる机を使ったり、テレビを見る時になるべく立つなど、工夫次第で”座位リスク”は軽減できます。