認知症と介護

家族の認知症にいち早く気付くための8つのサイン

認知症に気づけるのは家族

認知症は早期発見が重要で、いち早く適切な治療を開始することで、認知症が悪化する前に天寿を全うできたり、軽度認知障害(MCI)のうちに治療が開始できれば、正常な状態に戻すことができる場合も多くあります。

このページでは、認知症による変化に気づくためのヒントとなる代表的な症状を8つまとめました。

認知症の初期サイン1:好奇心とやる気が低下する

新しい事を始めようという好奇心ややる気が低下し、徐々に失われていきます。また、頑張りが続かず、投げ出しがちになります。

以前は趣味に情熱を燃やしていたのに、最近はちっとも趣味に気が向かないなぁと感じたなら、認知症による好奇心とやる気の低下が原因かもしれません。
前向きなやる気が失われるため、新しい電化製品の使い方を取得しようとしません。なかなか使いこなすこともできなくなります。

好奇心が低下するため、周囲の出来事、ニュースなどにも関心を示さなくなります。

認知症の初期サイン2:最近の出来事が思い出せない

いっしょにテレビを見ていたのに、直後に「面白かったね。特にあのシーン」と話しかけても、本人は番組内容を忘れてしまい、話がかみ合わない…とか、電話をしていて、受話器を置いたとたん、誰と話していたかを忘れてしまったりと、直前のエピソードを忘れてしまうのは、認知症が原因のもの忘れです。
直前でなくても、最近の出来事は覚えにくいのですが、最も違和感として受け取れるのは、直前の出来事を忘れてしまう症状でしょう。

健康な人でも、冷蔵庫を開けたとたん、何を取り出そうとしたのかを忘れたり、ぼーっとテレビを見ていて、コマーシャルの間にどの番組を見ていたかをうっかり忘れたり、ど忘れはおこるものです。こういったど忘れは、少し考えれば思い出せる場合が多く、問題のないもの忘れです。

しかし、出来事がまとめて抜け落ちていたり、ヒントを伝えても思い出せなかったりするなら、認知症を疑う必要があるでしょう。

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認知症の初期サイン3:同じ話を何度もする

同じ話を繰り返す、同じ質問を何度もするという症状は、「話したこと」自体を忘れてしまうために起こります。
ですから、聞いている人は「また同じ話」と思っても、本人にとっては「初めて話す話」なのです。

同じ話、同じ質問が多いなら、認知症を疑うサインです。

認知症の初期サイン4:周囲への配慮が無くなる

認知症の初期には、本人は不安がとても大きくなります。
自分自身がおかしくなっているという実感があるためです。

気遣いがなくなり、自分ばかりに気が行くようになったのなら、それは不安が故に周りにかまっている余裕がなくなた証拠かもしれません。

自己中心的になった、怒りっぽくなった、他人ばかり頼るようになった、指摘すると感情的になるなどの症状は、認知症の初期に見られる症状です。

認知症の初期サイン5:自分の病気を認めない

認知症という診断が出る前、本人は、自分がおかしいことに感づいていながら、それを認めたくないがために正常であると信じ込もうとします。
そして、周りにも気づかれたくないため、何かを指摘されても、何とかごまかしてその場を乗り切ろうとします。

認知症の初期段階で、病院に連れていっても、医師の前でだけなぜかきちっとしてしまい、いつもよりちゃんと出来てしまうのも、この気持ちのせいなのでしょう。

認知症の初期サイン6:状の把握ができない

「今日は何曜日ですか?」
と聞かれて、すっと答えられないときってありますよね。そんな時は、スマホで確認したり、カレンダーを見たり、昨日の夜見た番組を思い出し、そこから答えを導き出したりと、私たちはいろいろな方法で適切な情報を取得し、答えることが出来ます。

時計やスマホが無いときに「今何時ですか?」と聞かれれば、テレビをつけるかもしれませんし、外を見ておおよその時間を答えるかもしれません。「おおよその時間でいいのか」という判断も、その場その場の状況から判断できるでしょう。「2時半の電車に乗るんだ。今何時?」に対して、時計を見ずに外の明るさを見て答えることはないでしょう。

認知症では、その場その場で必要な情報を集めるという、現状の把握能力が低下します。
何かを聞いても的外れな答えだとか、今自分が置かれている状況が理解出来ていないのは、認知症を疑うサインの1つと考えられます。

認知症の初期サイン7:お金の計算・管理ができない

通常であれば、『354円』の支払いの時に、『1054円』を出したり、『500円』を出したりするでしょう。
この時、小銭も1000円札もあるのに『1万円札』を出すなら、要注意です。

認知症によってさまざまな能力が低下していきますが、比較的早いうちに顕著に表れるのが、計算能力の低下です。(ただし、職業柄計算に強い人は長い間計算には支障がないことも多いです)

認知症の初期サイン8:当たり前の日常の作業に手間取る

料理、部屋の掃除、運転など、日常の作業にミスが増えます。うっかりミスは誰にでもあるものですが、考えてもわからない様子だったり、ミスが多すぎるなら危険信号です。

段取りが脳の中で組み立てられなくなるため、日常動作に手間取るようになります。