認知症予防と若脳

転倒を予防するために強化したい3つのこと 認知症にならない健康づくり

転倒は認知症と深いつながりがある、日常に潜む大きなリスクの一つです。
もし、転倒して骨折してしまい、入院したとします。もし、長期の入院となれば、筋力が失われ、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあります。
また、高齢になると、骨折した部位が再び元に戻らなくなってしまい、元の様に歩けなくなるかもしれません。

長期入院は環境の変化や運動量の低下、生活のメリハリの減少などから認知症発症のきっかけにもなりやすく、注意が必要です。また、寝たきりになってしまえば、外部からの刺激が減ることが避けられず、やはり認知症の危険因子になります。

普段の生活の中で、転倒のリスクを減らすには、何をすればいいのでしょうか。
『転倒リスクを減らすために強化したい3つのこと』をまとめました。

強化したい3つのこと:その1 骨の強化

骨を強化することで、転倒した際に骨折を回避することが出来ます。
骨を強化するためには、次の2つの方法があります。

骨を強化する方法1 カルシウムを摂取する

健康に良いと言われている日本食にも弱点があります。それが、カルシウムです。

1日に必要な摂取量は700mgですが、厚生労働省による『国民健康・栄養調査(2019年度)』によると、前年代において、カルシウムの摂取量は足りておらず、平均して500mg~550mg程度にとどまっています。

カルシウムは骨を作るために必須の栄養素で、カルシウムの不足は骨の強度に密接な関りがあります。

転倒をして骨折しないために、骨への栄養を積極的に取り入れていきましょう。

カルシウムを多く含む食品

カルシウムは下記の食品に多く含まれています。
特に乳製品は、一度にたくさん摂取でき、吸収率もよく、カルシウム摂取に向いた食品です。

・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
・小魚(骨ごと食べられる魚)
・サクラエビ(殻ごと食べられる海老)
・大豆製品(豆腐、納豆など)

ビタミンDを多く含む食品

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進させる働きがあり、カルシウムと一緒に摂取したい栄養素です。
ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることで生成され、通常は足りなくなることはあまりありませんが、日に当たる機会が少ないかたや、UVカットを完璧に行っている場合などは不足する可能性が高くなります。
夏であれば1日に10分~30分程度、冬は倍程度、日に当たれば十分に体内で生成されます。

・きのこ類
・魚
・卵

骨を強化する方法2  骨に負荷を与えて強くする

その1に引き続き、骨を強化して骨折を回避するために、骨に負荷をかけるという方法があります。

骨に負荷を与えることで、骨は強くなろうとします。
運動量が増えれば負荷をかけられる機会も増えますが、家にいることが多く、家事をすることが少ないなら危険信号でしょう。
その1にあるように、カルシウム摂取量が足りていない人が多いですから、意識して骨に負荷をかけて行かないと、加齢とともに骨は折れやすくなってしまいます。

骨に効率よく負荷をかけることができる有名な運動が、『かかと落とし体操』です。
やり方は簡単で、かかとを浮かせてから、すとんと落とす、それだけです。
そっとではなく、ドン、ドンと体重を利用して体を落とすイメージです。無理に強く行う必要はありません。
これを無理のない範囲で、行うことで、骨を強化できます。
簡単なので、お湯を沸かしているとき、歯を磨いているとき、テレビを見ているとき…と様々なシーンで取り入れられます。

強化したい3つのこと:その2 筋力を強化する

筋力の低下により、歩くときに足が上がらず、すり足のようになってしまうことで、低い段差につまづいてしまうことが多くなります。これが原因で転倒してしまうことがあります。
歩いていてひやっとすることが増えてきたなら要注意です。

筋力を強化するなら、特に衰えやすく、転倒に繋がりやすい下半身を中心にトレーニングするのがいいでしょう。歩く頻度を増やすとか、スクワットをするとか、できる範囲の運動で筋力アップを目指してみてはいかがでしょうか。

強化したい3つのこと:その3 注意力を強化する

・会話をしながら料理をしていて、うっかり塩を入れすぎてしまった
・からしを冷蔵庫から出そうとしたが、話しかけられて忘れてしまった
・話しながら歩いていたら、目的地を通り過ぎてしまった

その延長線上に、うっかり転倒してしまったがあります。

注意力は年齢とともに衰えていく能力の1つです。
注意力を司るのは脳ですから、脳を強化することで注意力を高めることができます。

例えば、リズムを足や手で取りながら、3、6、9…と計算してくとか、
テレビを見ながら簡単な計算問題を解いてみるとか、
注意力が分散するような脳トレは効果的です。

そうでなくても、積極的に脳を使うことは注意力の強化に役だちます。