楽しいかどうかに関係なく大笑いをする『笑いヨガ』。インドで生まれた笑いヨガは瞬く間に全世界に広がり、多くの人の健康を助けています。日常で取り入れる方法も含め、ご紹介します。
脳と体を健康にする『笑いヨガ』とは?
笑いヨガはインドの開業医であったインド人医師のマダン・カタリアによって生み出された健康法です。カタリア医師は、笑いは健康にいいと解っているのに笑わない大人が多いのは、笑う機会が少ないからだと思い立ち、笑う場所を作りました。これが笑いヨガの始まりです。1995年のことでした。
笑いヨガでは、「楽しいから笑う」という流れは必要ありません。前置きは不要で、『笑う』というアクションを起こします。楽しくなくても、気分が落ちていても、疲れていても関係ありません。ただ、息を吐くときに、口角を上げて「ははははは!」と声を出せばいいのです。
(参考:日本笑いヨガ協会)
笑うことで脳は楽しいと感じる
体をぐーっと伸ばすと気持ちよく感じるのと同じように、口角を上げて「ははは!」と声を出すと、脳は「楽しい」と感じてくれます。すると、自分もなんとなく楽しいような錯覚におちいり、気分がスッキリしていきます。これが、笑いヨガの効果です。
日本笑いヨガ協会の代表の高田佳子さんによると、「笑いは呼吸」だそうです。確かに、息を吸いながら笑い声は出せませんよね。笑いというのは息を吐くときに「ははは!」と声を添えること。そう考えると、呼吸法というのも納得がいきます。
さらに、「笑いは体内のジョギング」といわれているそうです。笑うと、実際に走ったわけではないのに、ジョギング同様に体の中の血流量が増し、脳も活性化します。大笑いを続けると、体が暖かくなるのもこのためです。大笑いをすると、お腹が痛くなりますよね。笑いヨガは腹筋を鍛える役にも立ちそうです。
ストレスホルモン『コルチゾール』も減少する
福島県立医科大学の大平哲也医師の研究によると、作り笑いでもいいので、笑っていると、体の血流量は上昇しています。微笑むだけでも効果が得られます。
さらに、笑いヨガを実施した後、コルチゾールというストレスホルモンの値が3.7から1.7と、半分以下に減少するという結果がでたのです。
介護現場でも使いやすい『笑う』体操
介護現場のレクリエーションに『笑いヨガ』を取り入れる動きがあります。
特に道具も必要ありませんし、健康によく、場が明るくなる『笑いヨガ』はレクリエーションに向く健康法です。専門的な知識が無くても、『笑う』ことに焦点を当て、みんなで笑うことで、十分にその効果を得ることが可能です。
楽しいからではなく、笑うから楽しい
子供は1日300回笑い、大人になると1日20回に、シニア層になると1日2回にまで笑う数が減少するといわれています。特に40歳以上の男性は笑う数が少なく、1週間全く笑わないという人も20%程度いるといいます。
笑うという行為自体が体を健康に保ち、脳の活性化に役立つのですから、大人はそれだけ健康になる機会を逃しているともいえます。
作り笑いや、微笑むだけでも一定の効果が得られるのなら、今、この文章を読みながらでも出来ますよね。
いち、にの、さん! はい、微笑んで!
ちょっとだけ楽しくなりましたか?
…そう簡単にはいかないかもしれませんが、なるべく笑顔を作ろうと心がけるだけで、ストレスホルモンが減少し、気持ちが軽くなって楽しいと思える機会が増えてくるはずです。
いきなり大笑いをしろといわれると、きっと私と同じように多くの人が羞恥心の圧勝です。
テレビを見るときに、多めに声を出して笑うくらいが精一杯でしょう。
自分のできる範囲で、意識的に笑うことが、体と脳の健康を改善してくれます。そのことを意識するだけでも数年後の健康状態に確かな変化が起きるかもしれません。